ぼくらは決して離れられない

永遠に愛されるキャプテン

トッティも悪くはなかったし、カッサーノの天才っぷりにはあらためて感心した。
でもこの試合のローマは、完全にかませ犬というか、引き立て役だった。
試合のなかで流れがかわることなんて、いくらでもある。
でもこれだけ変わるっていうのは、なかなか無いんじゃないのかなあ。


流れをひっぱってきたベッカムダバディの言うとおり、ギリシャ戦を思い出した。
決定的な仕事をしたわけじゃないけど、イングランドのキャプテンに相応しい働き。
そこから始まったんだ。熱がね、波紋みたいに。それで幸運まで引き寄せる。
フィーゴは全盛期みたいな遊びのあるボールタッチと迫力のPKをみせて、
ジダンはいつもより少し地味だけどそれでもやっぱり華麗なプレイで、
ロベルトカルロスは意地のシュートを決めた。何本も打ってようやく。
ゴール。抱き寄せて、キスをして、抱きしめる。笑顔。ああ。苦しかったんだなあ。
この試合の途中まで、マドリーはこのまま終わっちゃうのか、と思ってたけど。
選手もきっと、そう感じてたと思うけど。ラウル。太陽みたいな人がいた。


リーグ戦二試合目。負けたらヨーロッパチャンピオンがかなり遠のく。それだけ。
でもそれだけじゃないよねえ。裏側にはドラマ、そして思入れがいっぱい。みんなの。
こんな試合が観られるから、フットボールから離れられない。きっと。ずっと。
ちょっと目が潤んだのは、もちろん贔屓のせい。それでいいし。
マドリーから離れられない。ああ。もっと。もっと。