独立直後って大変なんだなあ

大学を卒業したて。新入社員研修後。常務と。喫煙所でのヒトコマ。


「mellowくん、新潟行ったことある?」
「え。ないっすねえ。北国は縁がなくて」
「あそこは酒うまいんだよ。やっぱりね、米と水がいいから」
「はあ。いいっすねえ」
「行ってみるかい?」


未熟ゆえに注意深かった。眼鏡の奥、細い瞳が光ったその瞬間を見逃さなかった。


「いや、大丈夫っす」
「なんで。いいじゃん」
「い、いや、正直厳しいっす」
「特別に手当て出してもいいんだよ。とりあえず三ヶ月でもどう?」
「勘弁して下さい」
「ひとり身だし適任なんだけどなあ」
「普通に無理ですよ」
「ちぇ。仕方ない。諦めよう。mellowくん、これ『貸し』だからね」
「そんなあ」


常務は一年ちょっと経って独立、同業を続けているらしい。
明後日。その常務と一緒に仕事をすることになった。
オレの出てる現場は人員不足。その情報、協業会社が常務に流しやがったせい。
あいつらめ。ファッキン。そんなに誰もいなかったなら、もう派遣でもいいだろう。


ってか常務、お偉いさんなんだから、単純作業に出てこないで下さい。
キーボード叩いて設定していくだけですよ。そういうの苦手だったじゃないですか。
恵比寿の借りを羽田で返す、ってことなのか。妙な展開になったなあ。はああ。